トップコラムちょっとドキドキ在宅医療 在宅患者の重症度区分見直し

ちょっとドキドキ在宅医療 在宅患者の重症度区分見直し

2024-12-04

在宅医療の領域でも患者の重症度は様々だ。比較的安定している軽症の患者から、がんの末期のように重症の患者までその重症度には大きな差がある。こうした在宅患者の重症度については2015年ごろにその見直しを行った。重症度分類に用いたのは、厚労省が定める別表7と別表8である。別表7はがん末期やパーキンソン病などの疾病リスト、別表8は留置カテーテルや在宅人口呼吸器などの処置リストである。この疾病と処置リストに該当する患者を重症とした。つまり重症度スケールは重症か軽症の2区分だ。いささか重症度分類としては大雑把な分類だ。  これに対して療養病床における重症度分類はより精緻だ。具体的には疾病リストと処置リストを組み合わせて3区分に分けている。具体的には重症の医療区分3から中等症の医療区分2、軽症の医療区分1だ。さらにこれに日常生活動作(ADL)の区分を3つに分けて、重症をADL区分1、中等症のADL区分2、軽症のADL区分1の3区分に分けている。この3つの医療区分と3つのADL区分を掛け合わせて3×3の9区分のマトリックスで重症度を判定している。この9区分に応じて診療報酬を決めている。  急性期医療では重症度はさらに精緻だ。それは「重症度、医療・看護必要」と呼ばれ、処置やモニターのA項目、ADLのB項目、手術のC項目の3項目のそれぞれにスコアを決めて、より細かく分類されている。  以上の例に倣って在宅医療においても重症度区分を見直してはどうだろうか?見直しのポイントは以下の4つだ。①疾患リスト、②処置リスト、③療養の場所だ。従来の疾患リスト、処置リストの組み合わせを2区分から療養病床の医療区分なみの重症、中等症、軽症の3区分にしてはどうだろう。これに療養の場所の自宅と施設の2区分を掛け合わせて3×2で6区分だ。  さて新たな地域医療構想が議論されている。新たな地域医療構想では従来の入院医療の地域医療構想だけでなく、外来医療、在宅医療もその射程を広げている。こうした新たな地域医療構想においては入院から在宅まで重症度区分も共通化する必要がある。国は療養病床の軽症の医療区分1の7割の患者の在宅へ移行を想定している。こうしたことからも入院と在宅を連続的につなぐ重症度区分の見直しが必要だ。  2015年の在宅医療の重症度区分の見直しからすでに10年が経過している。そろそろ在宅の重症度区分の見直しの時期だろう。 社会福祉法人日本医療伝道会衣笠病院グループ理事 よこすか地域包括ケア推進センター長  1949年神奈川県川崎市生まれ。1974年新潟大学医学部卒業、1978年新潟大学大学院医科研究科修了後、国立横浜病院にて外科医師として勤務。同病院在籍中1986年〜1988年まで当時の厚生省の留学制度でニューヨーク州立大学家庭医療学科留学。1988年厚生省関東信越地方医務局指導課長。1990年国立療養所村松病院副院長。1994年国立医療・病院管理研究所医療政策研究部長。1995年国立長野病院副院長。2006年より国際医療福祉大学三田病院副院長・国際医療福祉総合研究所長・同大学大学院教授、2013年4月より国際医療福祉大学大学院教授(医療経営管理分野責任者)、2010年より国際医療福祉大学クリニックで外来診療にも携わる。 Dr.武藤の在宅医療にまつわる経験エピソードをコラムにして配信!
武藤正樹

著者

武藤正樹

社会福祉法人日本医療伝道会衣笠病院グループ相談役

社会福祉法人日本医療伝道会衣笠病院グループ理事 よこすか地域包括ケア推進センター長 1949年神奈川県川崎市生まれ。1974年新潟大学医社会福祉法人日本医療伝道会衣笠病院グループ理事 よこすか地域包括ケア推進センター長 1949年神奈川県川崎市生まれ。1974年新潟大学医学部卒業、1978年新潟大学大学院医科研究科修了後、国立横浜病院にて外科医師として勤務。同病院在籍中1986年〜1988年まで当時の厚生省の留学制度でニューヨーク州立大学家庭医療学科留学。1988年厚生省関東信越地方医務局指導課長。1990年国立療養所村松病院副院長。1994年国立医療・病院管理研究所医療政策研究部長。1995年国立長野病院副院長。2006年より国際医療福祉大学三田病院副院長・国際医療福祉総合研究所長・同大学大学院教授、2013年4月より国際医療福祉大学大学院教授(医療経営管理分野責任者)、2010年より国際医療福祉大学クリニックで外来診療にも携わる。

武藤正樹の著書

病院経営MASTER VOL 9.1

病院経営MASTER VOL 9.1

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