トップコラムDr.武藤の「ちょっとドキドキ在宅医療」④~入れ墨彫師~

Dr.武藤の「ちょっとドキドキ在宅医療」④~入れ墨彫師~

2021-08-19

訪問診療ではいろいろな職業の方ともお会いできる。横須賀の訪問診療で入れ墨を彫る彫師の患者さんと在宅でお会いした。訪問に行く前に「ご自身も入れ墨をいれているけれど、話題にはしないように」と注意を受けて、お宅に訪問した。マンションの一室に彫師の男の方はパートナーの女性の方と暮らしていらっしゃる。 眼光するどく、いかにも丁寧な物腰で職人肌の方とお見受けした。ご挨拶もしっかりされている。診察のとき極彩色の素晴らしい入れ墨が目に入った。話題にしてはいけないと言われていたので、ほめるわけにもいかず、ちょっとドキドキしながら診察を終えた。最後に患者さんとそのパートナーの方から丁寧にお礼を言われ、ちょっとどぎまぎしながら看護師さんと一緒に最敬礼でお辞儀をしてマンションを後にした。 外にでて同行の看護師さんから「先生は合格でした」と言われた。前に訪問した医者は不合格で「2度と来なくていい」と言われたという。 以前、長野の地方都市の国立病院で、地元の拘置所に留置されている方の診察を担当していたことがある。その時も入れ墨を入れたその筋の方からなぜか気に入られた。その方がしばらくして刑務所に入ってから、本人から電話がかかってきた。「どうしました?」と尋ねると、「刑務所の医者がよく診てくれない」と不満を言って、事細かく病状を訴えてこられた。話を聞いてもらいたかったのだろう。しばらく話したあと、電話は切れた。 医者をしていると入れ墨の方に出会う機会も多い。最後に入れ墨の方に注射をするときのポイントを上げておこう。入れ墨の部位に注射するのは避けよう。 入れ墨の部位は入れ墨という異物のため皮膚免疫が落ちている。このため化膿しやすいからだ。一度、入れ墨の場所に注射して膿疹を作ってクレームになったことがある。
武藤正樹

著者

武藤正樹

社会福祉法人日本医療伝道会衣笠病院グループ相談役

社会福祉法人日本医療伝道会衣笠病院グループ理事 よこすか地域包括ケア推進センター長 1949年神奈川県川崎市生まれ。1974年新潟大学医社会福祉法人日本医療伝道会衣笠病院グループ理事 よこすか地域包括ケア推進センター長 1949年神奈川県川崎市生まれ。1974年新潟大学医学部卒業、1978年新潟大学大学院医科研究科修了後、国立横浜病院にて外科医師として勤務。同病院在籍中1986年〜1988年まで当時の厚生省の留学制度でニューヨーク州立大学家庭医療学科留学。1988年厚生省関東信越地方医務局指導課長。1990年国立療養所村松病院副院長。1994年国立医療・病院管理研究所医療政策研究部長。1995年国立長野病院副院長。2006年より国際医療福祉大学三田病院副院長・国際医療福祉総合研究所長・同大学大学院教授、2013年4月より国際医療福祉大学大学院教授(医療経営管理分野責任者)、2010年より国際医療福祉大学クリニックで外来診療にも携わる。

武藤正樹の著書

病院経営MASTER VOL 9.1

病院経営MASTER VOL 9.1

れんけあ広場のコラム「ちょっとどきどき在宅医療」が一冊に!在宅医療の実践物語。

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