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Dr.武藤の「ちょっとドキドキ在宅医療」⑥~生命表の断崖~
2021-10-19
最近、自分と同じ年代の団塊の世代と外来や在宅で出会うことが多くなった。1947年から49年生まれの団塊の世代は800万人もいる。私も1949年生まれの団塊世代だ。この団塊の世代の先頭集団が来年2022年から75歳以上の後期高齢者に突入する。
先日も外来で同い年の男性の進行食道がんを見つけた。首の周りのリンパ節の腫脹で来院された。内視鏡で検査したら食道がんだった。1か月前には同い年の女性が肝機能異常が見つかり腹部CTで検査したところ、膵体部がんの肝転移が見つかった。その女性は先週お亡くなりになった。このように同い年の方の病気や死に立ち会うことが増えてきた。
自分は幸いにもまだ元気だ。そこで「自分と同い年が、何割ぐらい生き残っているのだろう」という素朴な疑問を持った。それを知るには厚生労働省が5年に1度作成している「生命表」を見てみるのが早い。生命表とは、人は何歳で何人生き残っているかということを、10万人当りの数字に換算して示す生存曲線グラフだ(図)。
男の生存曲線は60歳ごろから急に生存の坂道をジェットコースターのように転げ落ちる。一方、女性は少し遅れて転げ落ちる。この生命表から見ると、現在、私の同級生の男性の8割はまだ生きていることが分かる。女性の9割は生きている。でも男は80歳になれば5割、90歳になれば2割、95歳になれば5分しか生き残っていない。
団塊の世代はこれから「生命表の断崖」を真っ逆さまに落ちていくのだ。このため国内の死亡者数もうなぎのぼりとなり昨年は年間137万人以上がなくなっている。岩手県1つ分の人口が亡くなっているのだ。これから団塊の世代の大死亡時代がやってくる。
生命表の断崖を上から見下ろしてみて、ドキドキした。
厚生労働省の生命表(2010年)から作成

著者
武藤正樹
社会福祉法人日本医療伝道会衣笠病院グループ相談役
社会福祉法人日本医療伝道会衣笠病院グループ理事 よこすか地域包括ケア推進センター長 1949年神奈川県川崎市生まれ。1974年新潟大学医社会福祉法人日本医療伝道会衣笠病院グループ理事 よこすか地域包括ケア推進センター長 1949年神奈川県川崎市生まれ。1974年新潟大学医学部卒業、1978年新潟大学大学院医科研究科修了後、国立横浜病院にて外科医師として勤務。同病院在籍中1986年〜1988年まで当時の厚生省の留学制度でニューヨーク州立大学家庭医療学科留学。1988年厚生省関東信越地方医務局指導課長。1990年国立療養所村松病院副院長。1994年国立医療・病院管理研究所医療政策研究部長。1995年国立長野病院副院長。2006年より国際医療福祉大学三田病院副院長・国際医療福祉総合研究所長・同大学大学院教授、2013年4月より国際医療福祉大学大学院教授(医療経営管理分野責任者)、2010年より国際医療福祉大学クリニックで外来診療にも携わる。
武藤正樹の著書

