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Dr.武藤の「ちょっとドキドキ在宅医療」③~ゴミ屋敷のA子さん~
2021-07-19
横須賀にある日本医療伝道会衣笠病院グループの在宅医療クリニックで、週1回金曜日の午後、在宅訪問診療のお手伝いをしている。
在宅訪問をしているとゴミ屋敷の住人とも仲良くなれる。
A子さんは70代の生活保護の方で、エレベーターのない市営アパートの5階の部屋に一人住まいだ。娘さんが時々通って面倒を見てくれている。このA子さんのお部屋がゴミ屋敷だ。一緒に訪問しているクリニックの看護師さんによると、「これでもだいぶ片付いた方だ。ベッドまで通れる道が出来ているから」と言う。
廊下には所狭しとうず高く物が積まれていて、流しには食器の洗い残しが山となっている。ベッドの上にもカップ麵や野菜、新聞が所狭しと散らかっている。部屋に入るとまず座る場所の確保だ。
お話を聞いたり診察するにも座るところがないのでベッドわきの椅子の上をまず自分で片付けて座る場所を確保する。同行する看護師さんは座るとところがないので立ったままだ。
でもA子さんはなかなかインテリで時事問題にも関心がある。私とはなぜか気があって、いつも行くと歓迎してくれる。梅雨の蒸し暑い時期に行くと、いつ洗ったのか分からないガラスコップにジュースを入れてすすめて出してくれる。
市営アパートの5階の部屋の開いた窓からは梅雨の曇り空が広がって、時折涼しい風も入ってくる。 最初訪問したときはゴミ屋敷にびっくりしたけれど、何度か訪問するうちにゴミ屋敷に住むA子さんとのなにげない会話を楽しみにしている自分に気が付いた。

著者
武藤正樹
社会福祉法人日本医療伝道会衣笠病院グループ相談役
社会福祉法人日本医療伝道会衣笠病院グループ理事 よこすか地域包括ケア推進センター長 1949年神奈川県川崎市生まれ。1974年新潟大学医社会福祉法人日本医療伝道会衣笠病院グループ理事 よこすか地域包括ケア推進センター長 1949年神奈川県川崎市生まれ。1974年新潟大学医学部卒業、1978年新潟大学大学院医科研究科修了後、国立横浜病院にて外科医師として勤務。同病院在籍中1986年〜1988年まで当時の厚生省の留学制度でニューヨーク州立大学家庭医療学科留学。1988年厚生省関東信越地方医務局指導課長。1990年国立療養所村松病院副院長。1994年国立医療・病院管理研究所医療政策研究部長。1995年国立長野病院副院長。2006年より国際医療福祉大学三田病院副院長・国際医療福祉総合研究所長・同大学大学院教授、2013年4月より国際医療福祉大学大学院教授(医療経営管理分野責任者)、2010年より国際医療福祉大学クリニックで外来診療にも携わる。
武藤正樹の著書

