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ちょっとドキドキ在宅医療㉒ フットケアは「放っとけや~」
2023-03-15
横須賀の衣笠で週1回、在宅クリニックの看護師さんと一緒に訪問診療に出かけている。
訪問診療では看護師さんが、フットケアをすることがある。爪白癬で肥厚した足爪をニッパーで切り取って、足の指の間を清拭し抗真菌薬を塗ったり、かかとの角質にヤスリをかけたりする。
先日訪問したグループホームに入居中の83歳の高齢の男性、なぜか機嫌が悪くて、看護師さんのフットケアを拒否して、「放っとけや~」と言っていた。看護師さんと二人で、おもわず「フットケアは放っとけや~」と言って笑った。
ところが今日訪問したら、天気もよいのでご機嫌の様子、すなおに看護師さんのフットケアを受けている。フットケアをしている看護師さんのベッドわきを見ると、競馬馬と一緒に写っている男性の若いときの写真が飾ってあった。「馬主をされていたんですか?」と話しかけると、「雌のアラブ馬で優勝もしたんだ」とご機嫌だ。鹿児島出身で仕事は羽田で飛行機の整備の請負もやっていたと話してくれた。
さて高齢者のフットケアは足病変の早期発見に重要だ。高齢者の足病変は歩行時の疼痛や歩行困難の原因になり転倒を招いて寝たきりのリスクにもなる。とくに糖尿病の患者さんのフットケアが大事だ。ゴマ粒のような小さな皮ふ壊死病変が、あっというまに指全体に広がる。
2008年の診療報酬改定のとき「糖尿病合併症管理料」でフットケアに点数が初めて付いた。糖尿病合併症管理料は、糖尿病足病変のハイリスク患者に対し、医師あるいは看護師が指導・管理を行うと、月1回170点を算定できる。 看護師が行う場合、糖尿病足病変の看護の実務経験(5年以上)と、フットケアの研修(16時間以上あるいは2日程度)の受講が求められている。この点数のおかげで病院の外来にフットケア外来を設置するところも増えた。
もはや「フットケア」は「放っとけや~」の時代ではなくなっている。

著者
武藤正樹
社会福祉法人日本医療伝道会衣笠病院グループ相談役
社会福祉法人日本医療伝道会衣笠病院グループ理事 よこすか地域包括ケア推進センター長 1949年神奈川県川崎市生まれ。1974年新潟大学医社会福祉法人日本医療伝道会衣笠病院グループ理事 よこすか地域包括ケア推進センター長 1949年神奈川県川崎市生まれ。1974年新潟大学医学部卒業、1978年新潟大学大学院医科研究科修了後、国立横浜病院にて外科医師として勤務。同病院在籍中1986年〜1988年まで当時の厚生省の留学制度でニューヨーク州立大学家庭医療学科留学。1988年厚生省関東信越地方医務局指導課長。1990年国立療養所村松病院副院長。1994年国立医療・病院管理研究所医療政策研究部長。1995年国立長野病院副院長。2006年より国際医療福祉大学三田病院副院長・国際医療福祉総合研究所長・同大学大学院教授、2013年4月より国際医療福祉大学大学院教授(医療経営管理分野責任者)、2010年より国際医療福祉大学クリニックで外来診療にも携わる。
武藤正樹の著書

