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ドクターゴンのれんけあコラム 連載⑫ ~フィラリア後遺症~
2022-05-02
地域医療では、都市部で診ることの無い疾患を抱えた患者さんを受け持つことがある。私が生まれた1963年の宮古島では、蚊が媒介するフィラリア感染者が多かった。上水道の敷設と父が始めた撲滅運動が成功し、新規感染者はゼロとなって久しいが、平成9年の開業時には後遺症の象皮病に悩む高齢者がまだみられた。
フィラリア原虫が患者の体から駆除されても、リンパ管が閉塞して手足や陰嚢が象の足の様な硬いリンパ浮腫となる。これが起こった部分は正常の2、3倍の太さになり、歩行と生活が困難になって、訪問診療の対象になる人が多かった。真っ赤に腫れて高熱を出すこともある。象皮病については早逝した父親から聞かされていたが、関東の病院でしか勤務経験の無い私は、その対処法を知らなかった。教科書にも記載はない。
父の残した資料を漁り、治療にあたった。象皮病患者の多くが、保健所長だった父を記憶していた。東京育ちの私に「また、泰川先生と呼べる先生が診てくれるんだねえ。」と、涙を浮かべたオバアの手を取って、ただ頷いた時、自分の選んだ道が正しかったと思えた。
筆者プロフィール
泰川 恵吾(やすかわ けいご)
医療法人鳥伝白川会 理事長 ドクターゴン診療所
平成元年杏林大学医学部卒業。同年東京女子医科大学第二外科入局。東京女子医大救命救急センターICU医長を経て、平成9年から宮古島で訪問診療開始、12年にドクターゴン診療所開設、平成22年に鎌倉診療所を開設。現在、医療法人鳥伝白川会理事長として、宮古島、神奈川の3箇所の診療所で離島僻地医療・在宅医療を展開している。

著者
泰川恵吾
医療法人鳥伝白川会理事長
平成元年杏林大学医学部卒業。同年東京女子医科大学第二外科入局。東京女子医大救命救急センターICU医長を経て、平成9年から宮古島で訪問診療開始、12年にドクターゴン診療所開設、平成22年に鎌倉診療所を開設。現在、医療法人鳥伝白川会理事長として、宮古島・神奈川の3箇所の診療所で離島僻地医療・在宅医療を展開している。
