トップ › コラム › 羽田教授のれんけあコラム 連載④ ~リーダーシップについて~
羽田教授のれんけあコラム 連載④ ~リーダーシップについて~
2021-06-15
リーダーシップは、集団や組織を目標達成に向けて方向づけ統率する働きであり、企業に限らず軍隊、学校、スポーツチーム、ボランティア団体などあらゆる種類の集団や組織において見出される現象と捉えることができます。
今回は、軍事の文献に見るリーダーシップについてお話しします。
孫子の兵法は、リーダーとしての統帥者には、智・信・仁・勇・厳が必要と述べています。智は、敵に勝る智慧で敵に手を読まれずに敵の手の内を読み取る力のことです。信は、心正しく偽りがなく部下の信頼を集めることです。仁は、人として最も大切な人を慈しむ心と思いやりのことです。勇は、ことに臨んでよく忍耐し、危険を恐れず為すべきことを行う力のことです。厳は、けじめをはっきりする厳しさのことです。
クラウゼヴィッツは戦争論でリーダーである統帥者に必要な資質として、勇気・知力・果断・沈着・忍耐力・ 感情・強い性格を上げています。勇気は危険にたじろがぬ勇気と責任に対する勇気が必要と述べています。知力は事態を理解し判断できる知力が不可欠であり、果断は正しく決断する事であり、沈着は予定していないことに対処する力で平常心を常に保つことであり、忍耐力は責任に押し潰されないことや長時間の労苦にへこたれないことであり、感情は平衡感覚のある感情の強さのことであり、強い性格は信念を十分に持続することの出来る性格の強さについて述べています。
日本陸軍の統帥綱領は、統帥者は威徳(威厳と人徳)を持たなければならないと記載があり、リーダーに求められる資質として、高邁な品性を持つこと、無限の包容力を持つこと、堅確な意思を持つこと、卓越した識見を持つこと、非凡な洞察力を持つことを上げています。
米国海軍士官候補生読本によれば、リーダーシップとは1人の人間がほかの人間の心からの服従、信頼、尊厳、忠実な協力を得るようなやり方で、人間の思考、計画、行為を指揮できかつそのような特権を持てるようになる技術(アート)、科学(サイエンス)、ないし天分と定義しております。
軍事において統帥者が発揮するリーダーシップは、医療機関におけるリーダーシップとは当然ながら異なるものですが、医療機関の経営に係る方にとって参考になるものもあると思われます。

著者
羽田明浩
国際医療福祉大学教授・経営学博士
1986年立教大学経済学部卒、同年三井銀行(現三井住友銀行)入行。2004年国際医療福祉大学勤務(出向)、2008年立教大学大学院ビジネスデザイン研究科修了(MBA取得)。銀行本部医療機関担当、大手医療法人本部勤務(出向)を経て、2013年立教大学大学院経営学研究科博士後期課程修了・博士(経営学)取得。同年より現職。
