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ちょっとドキドキ在宅医療 増える地域包括医療病棟
2025-07-09
高齢者救急を受け入れる「地域包括医療病棟」が少しづつ増えている。今回はこの新たな病棟類型を見ていこう。
2025年は著者を含め団塊の世代800万人がそろって後期高齢者となった。このため急性期病棟では、後期高齢者で病床の7割ほどが埋まっている。すでに高齢者の入院パンデミックが到来している。この要因の一つが高齢者の救急搬送の増加だ。その多くが誤嚥性肺炎や尿路感染など軽症ないし中等症の患者だ。これらの患者が急性期一般病床に集まってしまう。そのワケは高齢者の救急搬送が、急性期一般病床に必要な重症度、医療・看護必要度の点数稼ぎにちょうど良いからだ。本来はこうした誤嚥性肺炎や尿路感染などの高齢者救急は地域包括ケア病棟で診るべきだ。しかし地域包括ケア病棟は看護配置が13対1なので、急性期一般病床の10対1より看護配置が少ない。このためこれらの救急を受け入れるにはためらいがある。
こうした事情から2024年の診療報酬改定では高齢者救急をどこで受け入れるかが大きな論点となった。このため厚労省は2024年診療報酬改定で新たな病床類型である「地域包括医療病棟」を新設することとした。その要件は以下である。①高齢者の救急患者を受け入れる、②一定の医療資源を投入して急性期からの速やかな離脱を図る、③早期の退院に向け、リハビリ、栄養管理等を提供する、④退院に向けた支援や人生の最終段階における医療・ケアに関する適切な意思決定支援を行う、⑤早期の在宅復帰や在宅医療、介護との連携に向けて包括的なサービスに提供する。こうした要件を満たす入院料(病棟)を新設するとした。
この新しい入院料(病棟)である地域包括医療病棟は、看護配置10対1の「急性期一般入院料2〜6」をベースにした包括支払いが基本だ。しかしその算定要件が厳しかった。平均在位日数が21日、在宅復帰率が80%以上、常勤のリハビリスタッフが2名以上などだ。このためこれまで手上げする病院がなかなか増えなかった。
しかしこのところ地域包括医療病棟が増え始めた。2025年5月時点で、全国で153病棟、8495床まで増えた。この病棟がどのような病棟から移行したのかを見ていこう。2025年6月の中医協の入院外来分科会の資料によると、急性期一般入院料1(旧7対1)からの移行が4割を占めていた。これは2024年診療報酬改定で、急性期一般入院料1の要件が、看護必要度からB項目が削除されたほか、平均在院日数要件が「18日以下」から「16日以下」に短縮されるなど厳しい改定となったからだ。このため要件を満たせない病棟が急性期一般入院料1から地域包括医療病棟に移行したのだ。その次が急性期一般入院料4からが40%、急性期一般入院料2が10%、地域包括ケア病棟が10%と続いている。このように地域包括医療病棟は急性期一般入院料1~6の受け皿病棟として機能した。
厚労省の思惑がピッタリと当たった感じだ。在宅からの高齢者救急を受け入れる病棟としての地域包括医療病棟が、これから地域の身近な病院の中にますます増えていくことを願いたい。
社会福祉法人日本医療伝道会衣笠病院グループ理事 よこすか地域包括ケア推進センター長
1949年神奈川県川崎市生まれ。1974年新潟大学医学部卒業、1978年新潟大学大学院医科研究科修了後、国立横浜病院にて外科医師として勤務。同病院在籍中1986年〜1988年まで当時の厚生省の留学制度でニューヨーク州立大学家庭医療学科留学。1988年厚生省関東信越地方医務局指導課長。1990年国立療養所村松病院副院長。1994年国立医療・病院管理研究所医療政策研究部長。1995年国立長野病院副院長。2006年より国際医療福祉大学三田病院副院長・国際医療福祉総合研究所長・同大学大学院教授、2013年4月より国際医療福祉大学大学院教授(医療経営管理分野責任者)、2010年より国際医療福祉大学クリニックで外来診療にも携わる。

著者
武藤正樹
社会福祉法人日本医療伝道会衣笠病院グループ相談役
社会福祉法人日本医療伝道会衣笠病院グループ理事 よこすか地域包括ケア推進センター長 1949年神奈川県川崎市生まれ。1974年新潟大学医社会福祉法人日本医療伝道会衣笠病院グループ理事 よこすか地域包括ケア推進センター長 1949年神奈川県川崎市生まれ。1974年新潟大学医学部卒業、1978年新潟大学大学院医科研究科修了後、国立横浜病院にて外科医師として勤務。同病院在籍中1986年〜1988年まで当時の厚生省の留学制度でニューヨーク州立大学家庭医療学科留学。1988年厚生省関東信越地方医務局指導課長。1990年国立療養所村松病院副院長。1994年国立医療・病院管理研究所医療政策研究部長。1995年国立長野病院副院長。2006年より国際医療福祉大学三田病院副院長・国際医療福祉総合研究所長・同大学大学院教授、2013年4月より国際医療福祉大学大学院教授(医療経営管理分野責任者)、2010年より国際医療福祉大学クリニックで外来診療にも携わる。
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