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ちょっとドキドキ在宅医療 高齢者の救急をどこで診る
2023-09-05
横須賀の衣笠で週1回、訪問診療のお手伝いをしている。ある日、尿閉の高齢男性のお宅に往診で呼ばれた。もともと前立腺肥大がある方で、ここ数日風邪気味で市販の感冒薬を飲んだら尿が出なくなったという。お宅に伺い患者さんを診ると下腹部が膨隆している。尿道カテーテルを挿入するとあふれるばかりの尿が出て、おなかがへこんだ。感冒薬による尿閉だった。こんな時、往診に行かなければ、きっとこの方は救急車で病院に搬送されていただろう。2024年の診療報酬改定をめぐって、大きなテーマになりそうなのは「高齢者救急をどこで診るのか?」というテーマだ。すでに急性期病床は高齢者でいっぱいだ。なんと急性期病床では6~7割が後期高齢者で埋め尽くされている。そしてその半数以上は85歳以上の超高齢者だ。 こうしたなか高齢者の救急搬送が右肩上がりで増えている。それも軽症ないし中等症の高齢者の救急患者が急増している。年間の高齢者救急搬送のうち軽症患者は120万人、中等患者は160万人と20年前の1.3~1.4倍だ。その多くが急性期病床に運ばれる。救急搬送される疾患で多いのが誤嚥性肺炎と尿路感染だ。こうした疾患が急性期病床で受け入れられるのにはワケがある。理由は急性期病床での重症度、医療・看護必要度による患者評価だ。急性期病床では患者の重症度、医療・看護必要度を点数化して、この割合の高い患者が一定以入院していることを条件に診療報酬が支払われる。こうした中でも救急車で搬送される救急患者の点数が高い。このため急性期病床では救急搬送された高齢者の誤嚥性肺炎、尿路感染の患者が歓迎される。というのも誤嚥性肺炎や尿路感染は5日程度で症状が軽快する疾患だからだ。こうした疾患は、急性期病床で診ることがふさわしい疾患であるかどうかが疑わしい。急性期病床ではもっと若者の重症患者を診るのが本来の役割ではないのだろうか? そうした意味ではこれらの疾患は、本当は地域包括ケア病棟で診るべきだ。しかし地域包括ケア病棟ではこうした救急搬送で送られてくる高齢者が直接入院することは歓迎されない。というのは急患対応にはマンパワーが必要だ。しかし地域包括ケア病棟は看護師の配置が少ないので救急対応をしぶる病院もある。もちろん看護師さんの配置を増やして、こうした救急搬送を進んで受け入れる地域包括ケア病棟もある。このように地域包括ケア病棟は救急患者対応ではバラつきがある。一般的にいうと地域包括ケア病棟では急性期が終わって比較的安定した患者が好まれる。中には自院で手術した白内障の術後の患者などを受け入れる地域包括ケア病棟が1割ほどある。こうした地域包括ケア病棟の使い方はいかがなものか? ポスト2025年、団塊の世代800万人が後期高齢者となる。このまま急性期病床が後期高齢者の患者であふれかえる。まず在宅で後期高齢者の急患をみて急性期病床への救急搬送を減らすべきだ。次回の改定では高齢者救急をどこで診るのかが大きな課題だ。
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社会福祉法人日本医療伝道会衣笠病院グループ理事 よこすか地域包括ケア推進センター長
1949年神奈川県川崎市生まれ。1974年新潟大学医学部卒業、1978年新潟大学大学院医科研究科修了後、国立横浜病院にて外科医師として勤務。同病院在籍中1986年〜1988年まで当時の厚生省の留学制度でニューヨーク州立大学家庭医療学科留学。1988年厚生省関東信越地方医務局指導課長。1990年国立療養所村松病院副院長。1994年国立医療・病院管理研究所医療政策研究部長。1995年国立長野病院副院長。2006年より国際医療福祉大学三田病院副院長・国際医療福祉総合研究所長・同大学大学院教授、2013年4月より国際医療福祉大学大学院教授(医療経営管理分野責任者)、2010年より国際医療福祉大学クリニックで外来診療にも携わる。

著者
武藤正樹
社会福祉法人日本医療伝道会衣笠病院グループ相談役
社会福祉法人日本医療伝道会衣笠病院グループ理事 よこすか地域包括ケア推進センター長 1949年神奈川県川崎市生まれ。1974年新潟大学医社会福祉法人日本医療伝道会衣笠病院グループ理事 よこすか地域包括ケア推進センター長 1949年神奈川県川崎市生まれ。1974年新潟大学医学部卒業、1978年新潟大学大学院医科研究科修了後、国立横浜病院にて外科医師として勤務。同病院在籍中1986年〜1988年まで当時の厚生省の留学制度でニューヨーク州立大学家庭医療学科留学。1988年厚生省関東信越地方医務局指導課長。1990年国立療養所村松病院副院長。1994年国立医療・病院管理研究所医療政策研究部長。1995年国立長野病院副院長。2006年より国際医療福祉大学三田病院副院長・国際医療福祉総合研究所長・同大学大学院教授、2013年4月より国際医療福祉大学大学院教授(医療経営管理分野責任者)、2010年より国際医療福祉大学クリニックで外来診療にも携わる。
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