トップコラムちょっとドキドキ在宅医療~かかりつけ医機能報告制度~

ちょっとドキドキ在宅医療~かかりつけ医機能報告制度~

2024-11-09

2025年4月から「かかりつけ医機能報告」がスタートする。この報告は2023年5月に成立した改正医療法に基づいている。改正医療法では我が国で初めて「かかりつけ医機能」が法律上で定義された。かかりつけ医機能の報告を行う対象機関は「特定機能病院・歯科診療所以外の病院・診療所」であり、ほとんどすべての医療機関が、都道府県知事あてに報告することになる。この報告により医療機関がかかりつけ医機能を有するか否かが一目瞭然となる。 報告は1号機能と2号機能に分かれている。1号機能は日常的な診療を行っているかどうかを報告する。具体的には頻度の高い40疾患と17の診療領域が挙げられている。40疾患は、高血圧、腰痛症、関節症、かぜ・感冒、皮膚の疾患、糖尿病などの日常よく遭遇する疾患であり、17診療領域とは循環器系、筋骨格系、呼吸器系などである。これらの17診療領域ごとの一次診療の対応可能の有無、すなわちどの診療領域について一次診療を行うことが出来ることや相談に応じることができることを報告する。同時にかかりつけ医機能に関する研修を修了した医師の有無、総合診療専門医の有無を報告する。 2号機能の報告とは、具体的には以下の4項目である。①時間外の診療、②入院時の支援、③在宅医療の提供、④介護サービス等と連携した医療提供である。  1号機能の日常的な診療、2号機能の時間外診療、入退院支援、在宅医療、介護等との連携などあわせて5つの機能について報告をおこなう。この報告結果はいずれ医療機関のホームページ上でも公開することになる。それによって医療機関がどのようなかかりつけ医機能を有するのかが住民・患者の目からも分かりやすくなり、患者の医療機関選択の助けになる。 またこのかかりつけ医機能は診療報酬にも取り入れられることになるだろう。たとえば上記の5つの機能をポイント化して、かかりつけ医機能を十分に有する医療機関から、かかりつけ医機能を支援する医療機関、かかりつけ医機能を有していない医療機関等に分類され、かかりつけ医機能の程度によってそれぞれに診療報酬上のインセンテイブが付くこと考えられる。 さらにかかりつけ医機能報告制度は、医療計画や地域医療構想とも関係する。今後、このかかりつけ医報告の情報に基づいて、かかりつけ医機能を有する医療機関の機能分類がなされ、その地域における医療機関配置の議論にも影響することになるだろう。そしてかかりつけ医機能が不足する地域においては、こうした機能を普及拡充するために、医療介護確保基金などの補助金の対象にもなりうるだろう。あるいは逆にかかりつけ医機能が重複したり、あるいは過剰である場合にはその配置の適正化も行われるようになるかもしれない。 こうした意味から今回のかかりつけ医機能報告制度は我が国の医療提供体制の今後に、大きな影響を与える制度となる。ぜひその行方に注目してほしい。 社会福祉法人日本医療伝道会衣笠病院グループ理事 よこすか地域包括ケア推進センター長  1949年神奈川県川崎市生まれ。1974年新潟大学医学部卒業、1978年新潟大学大学院医科研究科修了後、国立横浜病院にて外科医師として勤務。同病院在籍中1986年〜1988年まで当時の厚生省の留学制度でニューヨーク州立大学家庭医療学科留学。1988年厚生省関東信越地方医務局指導課長。1990年国立療養所村松病院副院長。1994年国立医療・病院管理研究所医療政策研究部長。1995年国立長野病院副院長。2006年より国際医療福祉大学三田病院副院長・国際医療福祉総合研究所長・同大学大学院教授、2013年4月より国際医療福祉大学大学院教授(医療経営管理分野責任者)、2010年より国際医療福祉大学クリニックで外来診療にも携わる。 Dr.武藤の在宅医療にまつわる経験エピソードをコラムにして配信!
武藤正樹

著者

武藤正樹

社会福祉法人日本医療伝道会衣笠病院グループ相談役

社会福祉法人日本医療伝道会衣笠病院グループ理事 よこすか地域包括ケア推進センター長 1949年神奈川県川崎市生まれ。1974年新潟大学医社会福祉法人日本医療伝道会衣笠病院グループ理事 よこすか地域包括ケア推進センター長 1949年神奈川県川崎市生まれ。1974年新潟大学医学部卒業、1978年新潟大学大学院医科研究科修了後、国立横浜病院にて外科医師として勤務。同病院在籍中1986年〜1988年まで当時の厚生省の留学制度でニューヨーク州立大学家庭医療学科留学。1988年厚生省関東信越地方医務局指導課長。1990年国立療養所村松病院副院長。1994年国立医療・病院管理研究所医療政策研究部長。1995年国立長野病院副院長。2006年より国際医療福祉大学三田病院副院長・国際医療福祉総合研究所長・同大学大学院教授、2013年4月より国際医療福祉大学大学院教授(医療経営管理分野責任者)、2010年より国際医療福祉大学クリニックで外来診療にも携わる。

武藤正樹の著書

病院経営MASTER VOL 9.1

病院経営MASTER VOL 9.1

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