トップコラムちょっとドキドキ在宅医療 特定オンライン診療受診施設

ちょっとドキドキ在宅医療 特定オンライン診療受診施設

2025-08-08

今年10月に改正医療法の法案が国会で審議予定だ。この改正医療法にはいくつかの重要な項目があるが、オンライン診療の見直しもその一つだ。今回、初めてオンライン診療に「特定オンライン診療受診施設」を設けることとした。 従来、オンライン診療を受診可能な場所としては、患者のプライバシ―が確保され、確実に本人確認が行える場所として、「医療提供施設」か「患者の居宅等」のいずれかとされていた。これ以外で患者がオンラインで受診するには、その場所に「診療所(クリニック)」を開設することが法的には必要だった。これではオンライン診療の要件ハードルが高すぎる。  これに対して内閣府の規制改革推進会議は「学校やデイサービス(通所介護)事業所などにおいて、『特定多数人』に対し、クリニックを開設することなしに、医師がオンライン診療を行える」ようにすべきと提言していた。今回、この提言に対して「特定オンライン診療受診施設」と言う形で、オンライン受診を可能とした。  「特定オンライン診療受診施設」とは、「施設にいる患者に対してオンライン診療が行われ、当該施設の設置者が、医師・歯科医師に対し『業としてオンライン診療を行う場』として提供しているもの」と定義した。具体的には公民館、郵便局、駅ナカブース、職場、介護事業所などが想定されている。 これにより広範囲な場所でオンライン診療を受けられる環境が整うことになった。特に独居の高齢者などは、居宅で一人ではオンライン診療機器の操作ができないことがある。このため公民館やデイサービスに出向いた先で職員の手助けを受けながらオンライン診療を受けることをできるようにする。  しかし単純にオンライン診療の場を広げたのでは、適正性・安全性を確保できない。そこで、この「特定オンライン診療受診施設」には次のような義務が課されることになった。「所在地の都道府県知事に対し、『特定オンライン診療受診施設』の設置を届け出る」、「特定オンライン診療受診施設の設置者は、『運営者』を置く」、「特定オンライン診療受診施設でのオンライン診療の実施の責任は、『オンライン診療を行う病院・診療所の医師』が負う」、「オンライン診療を行う医療機関の医師が、上述の『オンライン診療基準』を満たす義務を負う」、「オンライン診療を行う医療機関」の管理者(院長等)は、『特定オンライン診療受診施設』の運営者に対し、『オンライン診療基準への適合性の確認』を行う」、「特定オンライン診療受診施設の運営者は、この確認に対し応答する義務を負う」としている。  つまり「オンライン診療を行う医療機関」が、「特定オンライン診療受診施設」について「適切にオンライン診療を行えるプライバシー確保などの環境を確保できているか」を監督・確認したうえで、オンライン診療を行うという仕組みだ。  なにはともあれ、オンライン診療の場が広がることは歓迎したい。グループホームなど介護施設でもオンライン診療が可能になる。グループホームの訪問診療も対面とオンラインの組み合わせでできるようになるだろう。 社会福祉法人日本医療伝道会衣笠病院グループ理事 よこすか地域包括ケア推進センター長 1949年神奈川県川崎市生まれ。1974年新潟大学医学部卒業、1978年新潟大学大学院医科研究科修了後、国立横浜病院にて外科医師として勤務。同病院在籍中1986年〜1988年まで当時の厚生省の留学制度でニューヨーク州立大学家庭医療学科留学。1988年厚生省関東信越地方医務局指導課長。1990年国立療養所村松病院副院長。1994年国立医療・病院管理研究所医療政策研究部長。1995年国立長野病院副院長。2006年より国際医療福祉大学三田病院副院長・国際医療福祉総合研究所長・同大学大学院教授、2013年4月より国際医療福祉大学大学院教授(医療経営管理分野責任者)、2010年より国際医療福祉大学クリニックで外来診療にも携わる。
武藤正樹

著者

武藤正樹

社会福祉法人日本医療伝道会衣笠病院グループ相談役

社会福祉法人日本医療伝道会衣笠病院グループ理事 よこすか地域包括ケア推進センター長 1949年神奈川県川崎市生まれ。1974年新潟大学医社会福祉法人日本医療伝道会衣笠病院グループ理事 よこすか地域包括ケア推進センター長 1949年神奈川県川崎市生まれ。1974年新潟大学医学部卒業、1978年新潟大学大学院医科研究科修了後、国立横浜病院にて外科医師として勤務。同病院在籍中1986年〜1988年まで当時の厚生省の留学制度でニューヨーク州立大学家庭医療学科留学。1988年厚生省関東信越地方医務局指導課長。1990年国立療養所村松病院副院長。1994年国立医療・病院管理研究所医療政策研究部長。1995年国立長野病院副院長。2006年より国際医療福祉大学三田病院副院長・国際医療福祉総合研究所長・同大学大学院教授、2013年4月より国際医療福祉大学大学院教授(医療経営管理分野責任者)、2010年より国際医療福祉大学クリニックで外来診療にも携わる。

武藤正樹の著書

病院経営MASTER VOL 9.1

病院経営MASTER VOL 9.1

れんけあ広場のコラム「ちょっとどきどき在宅医療」が一冊に!在宅医療の実践物語。

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