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Dr.武藤の「ちょっとドキドキ在宅医療」⑱ ~2025年の訪問看護師不足~
2022-10-28
団塊の世代800万人が後期高齢者となる2025年まであとわずか3年だ。そして2024年からいよいよ第8次医療計画がスタートする。医療計画とは医療法によって定められた都道府県が策定する医療提供体制の基本計画のことだ。これまでに医療計画は7回見直された、2024年より新たな第8次医療計画がスタートする。
この医療計画には「5疾病5事業および在宅医療」といって、在宅医療の提供体制に関する計画も含まれている。この在宅医療については「第8次医療計画に関する検討会」の下に設置された「在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループ」(以下ワーキンググループ)で検討が行われている。このワーキンググループは年内に取りまとめを行い、来年3月には通知として厚労省から各都道府県に発出される。そして各都道府県はこの通知に基づき、2023年度中にそれぞれの都道府県における在宅医療に関する計画を策定し、2024年4月より施行することになる。
このワーキンググループにおける訪問看護についての検討を見ていこう。訪問看護は在宅医療には必須だ。しかし2025年には団塊世代の後期高齢者化により訪問看護の需要が急増する。ワーキンググループによると訪問看護師の2025年需要推計では、2020年の需要6.8万人が2025年には11.3万人と2倍近く伸びる。しかし訪問看護師の求人倍率をみると2020年現在で、訪問看護ステーションの求人倍率はすでに3.26倍と極めて高く、訪問看護師不足が顕著だ。このためこのままでは訪問看護については、2025年の需要急増に応えることは極めて困難だ。2025年は深刻な訪問看護師不足となるだろう。
厚生労働省2020年資料より
この傾向は都市部に際立っている。というのも都道府県別の看護師需給推計をみると、東京、神奈川、千葉、大阪、京都、兵庫など都市部に際立って看護師不足が見込まれるからだ。理由はこれらの都市部に、高度成長期に職を求めて団塊世代がなだれ込み、それがそろって後期高齢者化するからだ。
この解決策はなんだろう。看護師の就業場所別割合を見てみよう。2018年現在の121万人看護師の就業場所別割合をみると病院が70%、診療所が12.8%であるの対して、訪問看護は4.2%しかない。病院の急性期医療のニーズは若年人口の減少に従って減っていく。このため病院から訪問看護事業所への看護師マンパワーのシフトが必要だ。その一つの方策が、減少傾向にある200床以下病院や診療所に併設した訪問看護事業所数を増やすことだ。現在訪問看護事業所数は全体で1.8万軒、そのうち病院や診療所に併設した訪問看護事業所は5800軒と少ない。こうした病院・診療所に併設した訪問看護ステーションを増やすことで、病院本体に勤務している看護師を訪問看護へとシフトさせることができ、病院や診療所の在宅機能も強化することができる。
第8次医療計画の中にも病院・診療所併設の訪問看護事業所の普及計画も盛り込んでほしいものだ。

著者
武藤正樹
社会福祉法人日本医療伝道会衣笠病院グループ相談役
社会福祉法人日本医療伝道会衣笠病院グループ理事 よこすか地域包括ケア推進センター長 1949年神奈川県川崎市生まれ。1974年新潟大学医社会福祉法人日本医療伝道会衣笠病院グループ理事 よこすか地域包括ケア推進センター長 1949年神奈川県川崎市生まれ。1974年新潟大学医学部卒業、1978年新潟大学大学院医科研究科修了後、国立横浜病院にて外科医師として勤務。同病院在籍中1986年〜1988年まで当時の厚生省の留学制度でニューヨーク州立大学家庭医療学科留学。1988年厚生省関東信越地方医務局指導課長。1990年国立療養所村松病院副院長。1994年国立医療・病院管理研究所医療政策研究部長。1995年国立長野病院副院長。2006年より国際医療福祉大学三田病院副院長・国際医療福祉総合研究所長・同大学大学院教授、2013年4月より国際医療福祉大学大学院教授(医療経営管理分野責任者)、2010年より国際医療福祉大学クリニックで外来診療にも携わる。
武藤正樹の著書

