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Dr.武藤の「ちょっとドキドキ在宅医療」②~在宅での忘れ物~
2021-06-15
横須賀にある日本医療伝道会衣笠病院グループの在宅医療クリニックで、週1回金曜日の午後、在宅訪問診療のお手伝いをしている。
時々、急な往診も頼まれる。その日の午後も3件の訪問診療を終えてクリニックに戻ると、急な往診が待っていた。久里浜近くに住む90歳のおじいさんの胆管チューブが抜けかかっているという。胆管がんで胆管が閉塞しているので胆管内に挿入したチューブから胆汁を外にドレナージしている。このチューブが抜けると、在宅で入れなおすのが大変だ。大急ぎで看護師さんと一緒に車を走らせた。そして出発して5分ぐらい走ったところで、「あれ~電子カルテを持ってくるの忘れた!」と気が付いた。平謝りにクリニックに車を引き返して電子カルテをもってようやく患者さんの家にたどり着いた。
患者さんの胆管チューブはとみると、チューブを皮膚に固定してあった縫合糸が切れて今にも抜けかかっている。あわててチューブを挿入して、針糸を皮膚にかけてチューブを固定しようと、縫合セットを看護師さんにあけてもらった。「あら~、針糸がない!!!」と看護師さんを振り向くと、在宅ベテランの彼女は「ピンク針を使って」とピンク針を差し出す。「そうだ昔、当直で針糸がないとき縫合糸をピンク針の中にさしこんで縫合したっけ!」と気を取り直して、ピンク針に糸を通して、皮膚に麻酔してから、縫合糸を通したピンク針を皮膚に通して胆管チューブを皮膚固定することができた。
在宅に出かける前に持ち物を確かめることが大事だ。でも在宅では、その場でなんとかする知恵も必要と思った次第。

著者
武藤正樹
社会福祉法人日本医療伝道会衣笠病院グループ相談役
社会福祉法人日本医療伝道会衣笠病院グループ理事 よこすか地域包括ケア推進センター長 1949年神奈川県川崎市生まれ。1974年新潟大学医社会福祉法人日本医療伝道会衣笠病院グループ理事 よこすか地域包括ケア推進センター長 1949年神奈川県川崎市生まれ。1974年新潟大学医学部卒業、1978年新潟大学大学院医科研究科修了後、国立横浜病院にて外科医師として勤務。同病院在籍中1986年〜1988年まで当時の厚生省の留学制度でニューヨーク州立大学家庭医療学科留学。1988年厚生省関東信越地方医務局指導課長。1990年国立療養所村松病院副院長。1994年国立医療・病院管理研究所医療政策研究部長。1995年国立長野病院副院長。2006年より国際医療福祉大学三田病院副院長・国際医療福祉総合研究所長・同大学大学院教授、2013年4月より国際医療福祉大学大学院教授(医療経営管理分野責任者)、2010年より国際医療福祉大学クリニックで外来診療にも携わる。
武藤正樹の著書

