トップコラム羽田教授のれんけあコラム 連載⑨ ~看護大学での講義について~

羽田教授のれんけあコラム 連載⑨ ~看護大学での講義について~

2022-05-19

皆さんお久しぶりです。今回は看護大学の講義について記載します。筆者は、今年の4月から新たに開学した川崎市立看護大学で兼任講師として(本務校は国際医療福祉大学です)医療経営学の授業を受け持っています。 現在、看護師を養成する看護学科を有する大学は国内に約300校あり、現在看護学科で学んでいる新入学者総数は約26千人です。ちなみに日本国内の大学総数は約800校ですので、いかに看護学科が多いかがわかると思われます。 せっかくですから、わが国の看護職員について調べた数字を述べます。(これは看護大学の授業に際して調べたものです) 日本の看護職員総数は、約164万人です。その内訳は、看護師127万人、看護師30万人、保健師6.5万人、助産師4.1万人です。 看護職員の働いている場所は、病院に102万人、診療所に32万人、居宅サービスに7万人、訪問看護STに6万人、老健施設に5万人、特養施設に4万人、市町村に4万人、社会福祉施設に3万人、その他5万人となっています。 看護大学数と入学者数  学校数入学数2011年20017,4572015年25022,5122019年28825,6192020年29325,815 看護職員数  総数看護師准看護師保健師助産師2019年1,683,2951,272,024305,82064,81940,632 看護職員勤務場所  病院診療所居宅サービス訪問看護ST老健施設特養施設市区町村社会福祉施設その他2019年1,018,412316,14771,23560,66649,03542,99439,90329,78255,121上記表 出所:看護関係統計資料集(令和2年)日本看護協会出版会 ここで少し川崎市立看護大学のことを説明します。この大学は川崎市が設立した1学年100人、全学年でも400人の小さな大学です。この大学の教育理念は、「社会で生活する人々に対する理解を深め、豊かな人間性と幅広い視野を持ち、科学的根拠と倫理感に基づいて思考し、問題に対応するための看護実践力を通し、地域社会における健康と福祉の向上に貢献できる人材を育成する」を掲げています。 そして、カリキュラムポリーシーとして以下を掲げています。 ・多様な価値観を受け入れ、人に寄り添える幅広い教養と豊かな人間性を持った看護職者の育成 ・生命をいつくしみ、高い倫理性をもってケアできる看護職者の育成 ・先見性、柔軟性、創造性を持ち、他者や多職種と協働できる看護職者の育成 ・科学的根拠と論理的思考に基づいて実践できる力を有した看護職者の育成 ・地域社会に貢献したいという意欲と能力を持ち、地域包括ケアシステムに資する看護職者の育成 特に地域社会に貢献したいという意欲と能力を持ち、地域包括ケアシステムに資する看護職者の育成は、今日の医療提供体制である病院完結型から地域完結型へ、と地域包括ケアシステムの推進に合致した教育方針であると認識できます。 このコラムの読者の方は、何らかのかたちで地域連携にかかわっておられる方が多いでしょうから、本学の教育方針はなじみやすいのではと感じています。 授業で「なぜこの大学には入学したのですか? そして将来どのような看護師を目指しますか?」との課題に対してのレポートの多くは、地域社会に貢献する看護師を育成するから、地域包括ケアシステムに関心があり学ぶことができるから等の回答が多くありました。 急性期一辺倒ではない地域に根差した看護師を目指す学生も出てきています。そこでこのような看護師の育成に関して少しでも貢献できれば幸いであると考えております。
羽田明浩

著者

羽田明浩

国際医療福祉大学教授・経営学博士

1986年立教大学経済学部卒、同年三井銀行(現三井住友銀行)入行。2004年国際医療福祉大学勤務(出向)、2008年立教大学大学院ビジネスデザイン研究科修了(MBA取得)。銀行本部医療機関担当、大手医療法人本部勤務(出向)を経て、2013年立教大学大学院経営学研究科博士後期課程修了・博士(経営学)取得。同年より現職。