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ちょっとドキドキ在宅医療~訪問診療16Km以内~離島へき地では撤廃すべき
2023-12-17
訪問診療では訪問できる患者宅までの直線距離は16Km以内と決められている。特殊な理由がなければ16Km以上は認められていない。特殊な理由とは、たとえば訪問型病児保育と合わせて行う往診・訪問診療で、患児に対応できる医療機関がない場合は、16Kmを超えても保険対象となるとしている。また16Km規制は保険薬局の在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料などにも適応されている。
なぜ16Kmなのだろう。これは1里が約4Km、つまり4里であることに由来する。古くは街道には4里ごとに「四里杵(しおりぼし)」という道標が設置されていたという。つまり4里はマイルストーンだったのだ。4里は徒歩でいけば4時間、現在の車では30分以内の距離だ。
この訪問診療における16Km制限は以下の理由から設けられた。医療機関と訪問先の距離があまりにも離れていると、訪問する医師側の負担が大きくなる。また緊急での往診が必要になった場合、医師がすぐに訪問することが難しくなる。
実はオンライン診療でも30分ルールと言うのが設けられていたことがある。オンライン診療でも「緊急時に30分以内に駆け付けられる距離以内で行うべし」というルールだ。さすがにこのルールはおかしいということになり2022年診療報酬改定で撤廃された。
しかし依然として訪問診療では16Km制限は続いている。この16Km制限で痛い想いをした医師がいる。このコラムの執筆者でもあるドクターゴンこと泰川恵吾先生だ。ドクターゴン診療所は沖縄県宮古島の南部にあり、離島在宅医療を行っている。宮古島の他に近隣の池間島や大神島への海路での訪問診療や往診を行っている。著者も一度、夏休みにドクターゴンの水上ジェットによる往診を見学したことがある。水上ジェットでのドクターゴンの往診はまるで映画を見ているようでかっこよかった。
このドクターゴンがなんと「往診料の算定が認められるのは16Km以内まで」というルールのもと、2013年に地方厚生局から16Km以上で行った訪問診療の報酬自主返還を求められたのだ。海の上に16Kmの道標もなければ境界線もない。離島へき地医療にもこの16Km制限が適応されたことに驚いた。なんとも頭の固い地方厚生局だ。
その後、離島へき地における16Km制限はどうなったのだろう。まだあるとしたら即撤廃すべきだろう。
Dr.武藤の在宅医療にまつわる経験エピソードをコラムにして配信!
社会福祉法人日本医療伝道会衣笠病院グループ理事 よこすか地域包括ケア推進センター長
1949年神奈川県川崎市生まれ。1974年新潟大学医学部卒業、1978年新潟大学大学院医科研究科修了後、国立横浜病院にて外科医師として勤務。同病院在籍中1986年〜1988年まで当時の厚生省の留学制度でニューヨーク州立大学家庭医療学科留学。1988年厚生省関東信越地方医務局指導課長。1990年国立療養所村松病院副院長。1994年国立医療・病院管理研究所医療政策研究部長。1995年国立長野病院副院長。2006年より国際医療福祉大学三田病院副院長・国際医療福祉総合研究所長・同大学大学院教授、2013年4月より国際医療福祉大学大学院教授(医療経営管理分野責任者)、2010年より国際医療福祉大学クリニックで外来診療にも携わる。

著者
武藤正樹
社会福祉法人日本医療伝道会衣笠病院グループ相談役
社会福祉法人日本医療伝道会衣笠病院グループ理事 よこすか地域包括ケア推進センター長 1949年神奈川県川崎市生まれ。1974年新潟大学医社会福祉法人日本医療伝道会衣笠病院グループ理事 よこすか地域包括ケア推進センター長 1949年神奈川県川崎市生まれ。1974年新潟大学医学部卒業、1978年新潟大学大学院医科研究科修了後、国立横浜病院にて外科医師として勤務。同病院在籍中1986年〜1988年まで当時の厚生省の留学制度でニューヨーク州立大学家庭医療学科留学。1988年厚生省関東信越地方医務局指導課長。1990年国立療養所村松病院副院長。1994年国立医療・病院管理研究所医療政策研究部長。1995年国立長野病院副院長。2006年より国際医療福祉大学三田病院副院長・国際医療福祉総合研究所長・同大学大学院教授、2013年4月より国際医療福祉大学大学院教授(医療経営管理分野責任者)、2010年より国際医療福祉大学クリニックで外来診療にも携わる。
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