トップコラムちょっとドキドキ在宅医療 住宅改修

ちょっとドキドキ在宅医療 住宅改修

2024-08-12

横須賀市の衣笠で週1回の訪問診療に携わっている。今年は例年にない暑さで、訪問診療も大変だ。衣笠は三浦半島の丘陵地帯にあるので、坂と階段が多い。狭い坂道を軽自動車で駆け上がり、患者さんのお宅の階段前の細い通路に車を駐車する。そこから40段余りの階段が始まる。汗をふきふき階段を上りきると、ようやく門につく。門扉を開けて庭にでると、急に見晴らしがよくなり、涼しい風が吹き抜けて一息つく。  玄関を入ると一人暮らしの高齢女性が所狭しと家具に囲まれた狭い部屋の中で、低い座椅子に腰掛けている。話好きな女性はあれこれと日常の出来事を話してくれる。ふと見ると、座椅子の脇に見慣れぬ1本のポールが立っている。床から天井まで洗濯の物干しのようなポールだ。「どうして立てたんですか?」と聞くと、「ケアマナージャーに座椅子から立ち上がる時につかまるところがない」と相談した。すると介護保険の住宅改修で取り付けてくれいたという。「このポールがとてもいい」という。「座椅子から立ち上がる時にも楽だし。座るときにも助かる。それに体操をするのにもちょうどいい」という。ポールにつかまって手を伸ばしたり、腰を伸ばしたりしているという。まるで「ポールダンスリハビリ」だと思った。たかだか1本のポールだが、本人はとても喜んでいた。  介護保険による住宅改修は、手すりの取り付け、段差の解消、扉の取り換え、屋内の床や通路の材料の変更、便器の取り換えなどをしてくれる。手続きをすれば数千円から1万円程度の自己負担で改修してくれる。改修によって日常の暮らしも便利になるし、転倒事故も防げるなど、住宅改修は在宅の強い味方だ。 はじめての訪問診療のときにはできるだけ、患者さんの動線にそって台所やお風呂場やトイレ、寝室を見て回ることが必要だ。ちょっとした改修でずいぶん使いやすくなる事も多い。住宅リフォームのアドバイスも訪問診療の役目の一つだ。 社会福祉法人日本医療伝道会衣笠病院グループ理事 よこすか地域包括ケア推進センター長  1949年神奈川県川崎市生まれ。1974年新潟大学医学部卒業、1978年新潟大学大学院医科研究科修了後、国立横浜病院にて外科医師として勤務。同病院在籍中1986年〜1988年まで当時の厚生省の留学制度でニューヨーク州立大学家庭医療学科留学。1988年厚生省関東信越地方医務局指導課長。1990年国立療養所村松病院副院長。1994年国立医療・病院管理研究所医療政策研究部長。1995年国立長野病院副院長。2006年より国際医療福祉大学三田病院副院長・国際医療福祉総合研究所長・同大学大学院教授、2013年4月より国際医療福祉大学大学院教授(医療経営管理分野責任者)、2010年より国際医療福祉大学クリニックで外来診療にも携わる。 Dr.武藤の在宅医療にまつわる経験エピソードをコラムにして配信!
武藤正樹

著者

武藤正樹

社会福祉法人日本医療伝道会衣笠病院グループ相談役

社会福祉法人日本医療伝道会衣笠病院グループ理事 よこすか地域包括ケア推進センター長 1949年神奈川県川崎市生まれ。1974年新潟大学医社会福祉法人日本医療伝道会衣笠病院グループ理事 よこすか地域包括ケア推進センター長 1949年神奈川県川崎市生まれ。1974年新潟大学医学部卒業、1978年新潟大学大学院医科研究科修了後、国立横浜病院にて外科医師として勤務。同病院在籍中1986年〜1988年まで当時の厚生省の留学制度でニューヨーク州立大学家庭医療学科留学。1988年厚生省関東信越地方医務局指導課長。1990年国立療養所村松病院副院長。1994年国立医療・病院管理研究所医療政策研究部長。1995年国立長野病院副院長。2006年より国際医療福祉大学三田病院副院長・国際医療福祉総合研究所長・同大学大学院教授、2013年4月より国際医療福祉大学大学院教授(医療経営管理分野責任者)、2010年より国際医療福祉大学クリニックで外来診療にも携わる。

武藤正樹の著書

病院経営MASTER VOL 9.1

病院経営MASTER VOL 9.1

れんけあ広場のコラム「ちょっとどきどき在宅医療」が一冊に!在宅医療の実践物語。

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