トップコラムDr.武藤の「ちょっとドキドキ在宅医療」⑨~外来と在宅医療との連携~

Dr.武藤の「ちょっとドキドキ在宅医療」⑨~外来と在宅医療との連携~

2022-01-20

横須賀にある衣笠病院で週2回の外来を行っている。外来診療を行っていると、在宅医療との連携が必要な場面によく出くわす。しかしこの連携がなかなかむつかしい。 先日も外来で結腸がんの肺転移の高齢女性の患者さんが「いずれは在宅で過ごしたい。外来に通えなくなったら在宅でお願いします」と言われた。このため在宅医療への移行のタイミングを見計らっていた。しかしそうこうしているうちに、この方は、突然、自宅で腰痛で動けなくなって、ご主人が慌てて外来にこられて入院となった。なかなか在宅医療への移行のタイミングを見計らうことがまずむつかしい。とくにがんの場合は早め早めの在宅移行の準備が欠かせない。 そしていざ外来から在宅医療への連携を行おうとすると、その手続きもなかなか大変だ。外来から在宅医療への連携には、まず外来の訪問診療をしてくれる医師を探して、担当医を交代する必要がある。介護保険に入っている方は主治医意見書も書かなくてはならない。このためケアマネジャーさんにも患者さんから連絡を取ってもらう必要がある。こうした外来診療から在宅医療への移行のタイミングを逃すと、前述のように在宅医療に間に合わなくなったり、また患者の抱える医療・介護問題が複雑化することもよくある。 このように外来診療から在宅医療への移行には外来担当医と在宅医療担当医の密接な連携が必要となる。また医師ばかりでなくケアマネジャーや、訪問看護事業所の看護師や訪問介護事業所のヘルパー、薬局の薬剤師を含めた多職種の関わって、在宅医療の環境を整えることが必要だ。 外来から入院への移行の場合は連携システムが整備されている。診療報酬でも入退院支援加算や入院時支援加算などで手厚く評価されている。しかし、外来診療から在宅医療への移行には、入院の時のような円滑なシステムがまだまだ整備されていない。こうした外来診療と在宅医療を結ぶ連携を評価する仕組みを、次回報酬改定で設定してもらいたいものだ。
武藤正樹

著者

武藤正樹

社会福祉法人日本医療伝道会衣笠病院グループ相談役

社会福祉法人日本医療伝道会衣笠病院グループ理事 よこすか地域包括ケア推進センター長 1949年神奈川県川崎市生まれ。1974年新潟大学医社会福祉法人日本医療伝道会衣笠病院グループ理事 よこすか地域包括ケア推進センター長 1949年神奈川県川崎市生まれ。1974年新潟大学医学部卒業、1978年新潟大学大学院医科研究科修了後、国立横浜病院にて外科医師として勤務。同病院在籍中1986年〜1988年まで当時の厚生省の留学制度でニューヨーク州立大学家庭医療学科留学。1988年厚生省関東信越地方医務局指導課長。1990年国立療養所村松病院副院長。1994年国立医療・病院管理研究所医療政策研究部長。1995年国立長野病院副院長。2006年より国際医療福祉大学三田病院副院長・国際医療福祉総合研究所長・同大学大学院教授、2013年4月より国際医療福祉大学大学院教授(医療経営管理分野責任者)、2010年より国際医療福祉大学クリニックで外来診療にも携わる。

武藤正樹の著書

病院経営MASTER VOL 9.1

病院経営MASTER VOL 9.1

れんけあ広場のコラム「ちょっとどきどき在宅医療」が一冊に!在宅医療の実践物語。

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