トップコラムちょっとドキドキ在宅医療 在宅も身体拘束ゼロを目指そう

ちょっとドキドキ在宅医療 在宅も身体拘束ゼロを目指そう

2024-05-07

急性期医療の現場では、治療上の必要だからと言って、手にはミトンをしてベッド柵に抑制帯で縛り付けられ居る患者がいる。厚労省の調査によればいずれの病棟でも身体拘束は0~10%未満に留まるところが多いものの、一部には50%を超える病棟や病室もある。 身体拘束は患者の尊厳を傷つけ、ADLや認知機能を著しく低下させることは明らかだ。しかし医療現場では「治療上の必要性」を盾に、まかり通っている。しかし、2024年の診療報酬改定で、ようやく「身体拘束の縮小・廃止を目指していく方向」が明確に示された。  身体拘束とは「衣類又は綿入り帯等を使用して、一時的に患者の身体を拘束し、その運動を抑制することをいう」。またその適応には「切迫性」、「非代替性」「一時性」の3つの要件を満たしている場合に限るとしている。「切迫性」とは、患者本人又は他の患者の生命及び身体が危険にさらされる可能性が著しく高いこと。たとえば気管(切開)チューブ・中心静脈カテーテル・動脈カテーテル等の処置を行われている場合、「非代替性」とは、身体抑制その他の行動制限を行う以外に代替する看護(介護)方法がないとき、「一時性」とは、身体抑制その他の行動制限が一時的なものであることである。  介護の現場では以前から身体拘束の取り組みは進んでいる。介護では身体拘束に関連する減算は、身体拘束未実施減算として実施されている。同減算は施設サービスで身体拘束を行った際、その経過やその妥当性を検討した会議録等が未整備であった場合に課せられる。そして2018年度の改定では、「身体拘束廃止未実施減算」として居宅サービス(特定入所者生活介護)、地域密着型サービス(地域密着型特定入所者生活介護、認知症対応型共同生活介護)にまで拡大され、減算の単位数も大幅に増えた。また減算の要件は、身体拘束等を行ったことに限らず、身体拘束を未然に防ぐための取り組みを実施しているかどうかが対象となった。  今回の診療報酬改定では訪問看護にも以下の身体拘束の規定が入った。訪問看護においても身体的拘束等の原則禁止や緊急やむを得ない場合に身体拘束等を行う場合に記録の義務を課すこととした。在宅における身体拘束には以下の例がある。部屋の外から鍵をかける、車いすやベッドに固定する、脱衣などを防ぐつなぎの介護衣を着せる、肌を搔きむしらないように手袋をつけるなど。  これを機会に訪問看護や訪問診療の場でも身体拘束に対する感度をアップしよう。まず身体拘束の実態を洗い出して記録し、報告し、そしてチームでその解決策を考えることが大事だ。在宅における身体拘束ゼロを目指そう。 Dr.武藤の在宅医療にまつわる経験エピソードをコラムにして配信! 社会福祉法人日本医療伝道会衣笠病院グループ理事 よこすか地域包括ケア推進センター長  1949年神奈川県川崎市生まれ。1974年新潟大学医学部卒業、1978年新潟大学大学院医科研究科修了後、国立横浜病院にて外科医師として勤務。同病院在籍中1986年〜1988年まで当時の厚生省の留学制度でニューヨーク州立大学家庭医療学科留学。1988年厚生省関東信越地方医務局指導課長。1990年国立療養所村松病院副院長。1994年国立医療・病院管理研究所医療政策研究部長。1995年国立長野病院副院長。2006年より国際医療福祉大学三田病院副院長・国際医療福祉総合研究所長・同大学大学院教授、2013年4月より国際医療福祉大学大学院教授(医療経営管理分野責任者)、2010年より国際医療福祉大学クリニックで外来診療にも携わる。 Dr.武藤の在宅医療にまつわる経験エピソードをコラムにして配信! 社会福祉法人日本医療伝道会衣笠病院グループ理事 よこすか地域包括ケア推進センター長  1949年神奈川県川崎市生まれ。1974年新潟大学医学部卒業、1978年新潟大学大学院医科研究科修了後、国立横浜病院にて外科医師として勤務。同病院在籍中1986年〜1988年まで当時の厚生省の留学制度でニューヨーク州立大学家庭医療学科留学。1988年厚生省関東信越地方医務局指導課長。1990年国立療養所村松病院副院長。1994年国立医療・病院管理研究所医療政策研究部長。1995年国立長野病院副院長。2006年より国際医療福祉大学三田病院副院長・国際医療福祉総合研究所長・同大学大学院教授、2013年4月より国際医療福祉大学大学院教授(医療経営管理分野責任者)、2010年より国際医療福祉大学クリニックで外来診療にも携わる。
武藤正樹

著者

武藤正樹

社会福祉法人日本医療伝道会衣笠病院グループ相談役

社会福祉法人日本医療伝道会衣笠病院グループ理事 よこすか地域包括ケア推進センター長 1949年神奈川県川崎市生まれ。1974年新潟大学医社会福祉法人日本医療伝道会衣笠病院グループ理事 よこすか地域包括ケア推進センター長 1949年神奈川県川崎市生まれ。1974年新潟大学医学部卒業、1978年新潟大学大学院医科研究科修了後、国立横浜病院にて外科医師として勤務。同病院在籍中1986年〜1988年まで当時の厚生省の留学制度でニューヨーク州立大学家庭医療学科留学。1988年厚生省関東信越地方医務局指導課長。1990年国立療養所村松病院副院長。1994年国立医療・病院管理研究所医療政策研究部長。1995年国立長野病院副院長。2006年より国際医療福祉大学三田病院副院長・国際医療福祉総合研究所長・同大学大学院教授、2013年4月より国際医療福祉大学大学院教授(医療経営管理分野責任者)、2010年より国際医療福祉大学クリニックで外来診療にも携わる。

武藤正樹の著書

病院経営MASTER VOL 9.1

病院経営MASTER VOL 9.1

れんけあ広場のコラム「ちょっとどきどき在宅医療」が一冊に!在宅医療の実践物語。

Amazonで見る