トップコラムDr.武藤の「ちょっとドキドキ在宅医療」⑳ ~AIケアプランへの期待~

Dr.武藤の「ちょっとドキドキ在宅医療」⑳ ~AIケアプランへの期待~

2023-01-04

在宅の介護サービスにはケアマネが欠かせない。ただケアマネは超忙しい。その業務は多岐にわたり、利用者のアセスメントやケアプランの作成、モニタリング、サービス担当者会議録など作成しなければならない書類が山のようだ。なかでもケアプランの作成に関する業務が膨大で、ケアマネに長時間労働や休日出勤を強いている。調査によると利用者一人のケアプランを作成するだけで、4時間30分もかかるという。 ケアプランは全部で第1表から第7表まである。その内訳は第1表~第3表がアセスメントの根拠となる情報、第4表~第5表が支援のために必要な情報、第6表~第7表が保険給付の根拠となる情報だ。とくに第2表の解決すべき課題、目標、具体的な援助内容や期間の記載がケアプランのキモだ。 またケアプランはそれを作るケアマネの職種背景や経験や資質によっても大きく異なる。たとえば介護系の職種背景を持つケアマネと看護系のケアマネでも異なる。また経験豊かな主任ケアマネと一般ケアマネでも異なる。こうしたケアマネの経験やバックグラウンドを超えて適切なケアプランをAI(人工知能)が作成するAIケアプランの開発が進んでいる。 AIケアプランは、AIが様々なケアプランを学習して利用者に応じたケアプランを作る。AIの学習に際してはケアマネの思考フローを反映することが必要だ。しかしケアマネの思考は知識や経験の度合いでも異なる。このため厚労省が策定した「適切なケアマネジメント手法」を学んだケアマの協力をえて、AIが学習すべきケアプランを収集している。また職種背景の異なるケアマネのワーキンググループを立ち上げ、それぞれの職種がどのような着眼点でアセスメント情報を絞り込んでいくのか、またケアプランの記述に落とし込んでいくかも分析して、AI学習に活かしている。 またAIケアプランでは、なぜAIがこのケアプラン導き出したかがわかる「ホワイトボックス型」のAIケアプランの開発が進んでいる。こうした取り組みにより一定の専門性を有するケアマネの判断に近い基準で、AIがケアプランを作成する日も近い。そしてさらにAIはそのケアプランを実施することで起きる利用者の将来像をも予測することができるようになる。ホワイトボックス型のAIケアプランの開発に期待したい。
武藤正樹

著者

武藤正樹

社会福祉法人日本医療伝道会衣笠病院グループ相談役

社会福祉法人日本医療伝道会衣笠病院グループ理事 よこすか地域包括ケア推進センター長 1949年神奈川県川崎市生まれ。1974年新潟大学医社会福祉法人日本医療伝道会衣笠病院グループ理事 よこすか地域包括ケア推進センター長 1949年神奈川県川崎市生まれ。1974年新潟大学医学部卒業、1978年新潟大学大学院医科研究科修了後、国立横浜病院にて外科医師として勤務。同病院在籍中1986年〜1988年まで当時の厚生省の留学制度でニューヨーク州立大学家庭医療学科留学。1988年厚生省関東信越地方医務局指導課長。1990年国立療養所村松病院副院長。1994年国立医療・病院管理研究所医療政策研究部長。1995年国立長野病院副院長。2006年より国際医療福祉大学三田病院副院長・国際医療福祉総合研究所長・同大学大学院教授、2013年4月より国際医療福祉大学大学院教授(医療経営管理分野責任者)、2010年より国際医療福祉大学クリニックで外来診療にも携わる。

武藤正樹の著書

病院経営MASTER VOL 9.1

病院経営MASTER VOL 9.1

れんけあ広場のコラム「ちょっとどきどき在宅医療」が一冊に!在宅医療の実践物語。

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