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Dr.武藤の「ちょっとドキドキ在宅医療」⑦~在宅医療とバックベッド~
2021-11-22
在宅医療にはいざという時の後方病床(バックベッド)が欠かせない。在宅で何かあったときに緊急で入院や入所を引き受けてくれる病床だ。その点、私が現在勤務している横須賀の衣笠病院グループは、病床198床のケアミックス型の病院を持っているので助かる。そして病院には併設施設として、老健、特養、訪問看護ステーション、在宅クリニック、通所介護サービスを備えている。
今週の月曜、衣笠病院の外来を担当していた。月曜は患者さんも多くて大忙しだった。そんな中、在宅で経過をみていた結腸がんの患者さんのご主人が、慌てて外来に飛び込んできた。奥さんが昨日、突然、家で動けなくなったというのだ。2週間ぐらい前には腰が痛むとは言っていたので、そろそろ在宅に切り替えようかと思っていた矢先のことだった。このため忙しい外来の最中、大慌てで入院ベッドを探して、なんとか衣笠病院に入院してもらうことが出来てホットした。
また昨年、外来で胆管がんを見つけて胆道ステントを挿入して、在宅で見ていた高齢女性がやはりがんの進行で嘔吐するようになった。このため衣笠病院に入院してもらって、現在は院内のホスピスに転棟して落ち着いている。この患者さんは私が外来で最初にがんを発見してから、在宅医療に切り替わっても、ずっと診てきた患者さんだったので、こちらも一安心したところだ。
このように外来や在宅で診ている患者さんをいざという時にバックアップをしてくれる後方病床があることは患者さんにとっても、医者にとってもありがたい。
その点、衣笠病院は地域包括ケア病棟を持っているので、高齢者の急な入院には対応してくれる。また老健でも緊急ショートで、緊急時の受け入れもしている。先日も家庭内暴力で被害を受けた方や、家屋が老朽化して一部壊れかかった家に一人住まいをしている高齢者を緊急で老健に受け入れた。緊急ショートは受け入れる職員にとっては大変だが、困っている高齢者のシェルターとして老健が役に立つ。
先日、外来で新患の患者さんから「衣笠病院のマークをつけた訪問看護の車を街で見かけました。いずれは在宅で診てもらいたいと思ってきました」と言われた。
地域にとっても在宅医療と病院がセットになっている地域密着型の病院がこれからは欠かせないだろう。

著者
武藤正樹
社会福祉法人日本医療伝道会衣笠病院グループ相談役
社会福祉法人日本医療伝道会衣笠病院グループ理事 よこすか地域包括ケア推進センター長 1949年神奈川県川崎市生まれ。1974年新潟大学医社会福祉法人日本医療伝道会衣笠病院グループ理事 よこすか地域包括ケア推進センター長 1949年神奈川県川崎市生まれ。1974年新潟大学医学部卒業、1978年新潟大学大学院医科研究科修了後、国立横浜病院にて外科医師として勤務。同病院在籍中1986年〜1988年まで当時の厚生省の留学制度でニューヨーク州立大学家庭医療学科留学。1988年厚生省関東信越地方医務局指導課長。1990年国立療養所村松病院副院長。1994年国立医療・病院管理研究所医療政策研究部長。1995年国立長野病院副院長。2006年より国際医療福祉大学三田病院副院長・国際医療福祉総合研究所長・同大学大学院教授、2013年4月より国際医療福祉大学大学院教授(医療経営管理分野責任者)、2010年より国際医療福祉大学クリニックで外来診療にも携わる。
武藤正樹の著書

