トップコラムちょっとドキドキ在宅医療 ~多職種オンライン診療~

ちょっとドキドキ在宅医療 ~多職種オンライン診療~

2023-07-11

在宅医療で期待されたオンライン診療が思ったより普及していない。オンライン診療は2020年4月のコロナ禍中、規制改革推進会議の「通院による感染を回避する」という強い要望のもと導入された経緯がある。当初は感染不安からオンライン診療が使われたが、感染拡大が収まると共に、オンライン診療も下火のようだ。 今年6月8日に公表された中医協の調査結果によれば2022年10月に調査した800施設中、オンライン初診を届けていたのは255施設で31.9%に留まっていた。届け出ていない施設491施設のうち「今後届け出を行う意向あり」は17.7%にとどまった。その理由は「対面診療のほうが優れているため」が最も多く72.3%だった。届け出の意向はあるものの回答時点で届け出を行っていない84施設では、その理由として50施設が「オンライン診療のガイドラインに沿った診療を行う体制の確保などの施設基準を満たすことが困難」を挙げた。 これらの結果について、6月8日の中医協総会の下部組織の入院外来分科会ではオンライン診療の普及の難しさや、都市部と地方のニーズの違いについての意見があがった。次回改定では、こうした議論を踏まえてオンライン診療の施設基準の緩和や、医療資源の乏しい地方におけるオンライン診療の普及の方策、またオンライン診療の適応疾患の拡大を議論してもらいたいものだ。 たとえばオンライン診療に慣れていない高齢者に対して、公民館やデーサービスのような介護事業所にオンライン端末を設定して、スタッフが操作して、高齢者のオンライン診療を行うような仕組みはどうか?こうした仕組みについてはへき地・離島では認めるという通知も5月に出された。一方、このへき地・離島わくを外して都市部でも検討すべきだと言う意見もある。またオンライン診療の適応については、現在は生活習慣病等に限られている。この適応をもっと拡大してはどうか?米国では小児科、精神科、神経内科や皮膚科疾患のテレメディシン(オンライン診療)が普及している。このように適応が広い米国ではテレメデイシンを望む国民が6割以上ともいう。 たとえば自宅に引きこもっている老人性のうつ病や認知症の患者が、精神科や神経内科医の元に通院するのは大変だ。もちろん初回は対面で行うにしても、次回以降は訪問看護師が在宅の患者をオンラインで専門医とつないで診療を行うことも可能だろう。また褥瘡なども形成外科医や、専門知識をもつWOCナースや特定行為研修修了看護師が初回処置を行い、そのフォローは一般の訪問看護師がオンラインで一緒にフォローすることも可能だ。このようにオンライン診療を多職種で活用することについてもっと議論すべきだ。現在でも専門医と一般医が患者をはさんでオンライン診療を行うDocter to Patient with Doctor(D toPwith D)は報酬上認められている。在宅ではとくにこうした多職種オンライン診療が必要だ。医師ばかりでなく看護師、薬剤師、栄養士、リハビリ職、ケアマネジャーなどを含めた多職種チームで行うオンライン診療の仕組みを作り次回の報酬改定で評価してはどうだろうか? 社会福祉法人日本医療伝道会衣笠病院グループ理事 よこすか地域包括ケア推進センター長  1949年神奈川県川崎市生まれ。1974年新潟大学医学部卒業、1978年新潟大学大学院医科研究科修了後、国立横浜病院にて外科医師として勤務。同病院在籍中1986年〜1988年まで当時の厚生省の留学制度でニューヨーク州立大学家庭医療学科留学。1988年厚生省関東信越地方医務局指導課長。1990年国立療養所村松病院副院長。1994年国立医療・病院管理研究所医療政策研究部長。1995年国立長野病院副院長。2006年より国際医療福祉大学三田病院副院長・国際医療福祉総合研究所長・同大学大学院教授、2013年4月より国際医療福祉大学大学院教授(医療経営管理分野責任者)、2010年より国際医療福祉大学クリニックで外来診療にも携わる。 政府委員としては、医療計画見直し等検討会座長(厚労省2010年〜2011年)、中央社会保険医療協議会調査専門組織入院医療等の調査評価分科会会長(厚労省2010年〜2018年)      著書に「よくわかる病院の仕事のしくみ」(ぱる出版2007年) 「2025年へのカウントダウン~地域医療構想と地域包括ケアはこうなる!」(医学通信社2015年)など多数。
武藤正樹

著者

武藤正樹

社会福祉法人日本医療伝道会衣笠病院グループ相談役

社会福祉法人日本医療伝道会衣笠病院グループ理事 よこすか地域包括ケア推進センター長 1949年神奈川県川崎市生まれ。1974年新潟大学医社会福祉法人日本医療伝道会衣笠病院グループ理事 よこすか地域包括ケア推進センター長 1949年神奈川県川崎市生まれ。1974年新潟大学医学部卒業、1978年新潟大学大学院医科研究科修了後、国立横浜病院にて外科医師として勤務。同病院在籍中1986年〜1988年まで当時の厚生省の留学制度でニューヨーク州立大学家庭医療学科留学。1988年厚生省関東信越地方医務局指導課長。1990年国立療養所村松病院副院長。1994年国立医療・病院管理研究所医療政策研究部長。1995年国立長野病院副院長。2006年より国際医療福祉大学三田病院副院長・国際医療福祉総合研究所長・同大学大学院教授、2013年4月より国際医療福祉大学大学院教授(医療経営管理分野責任者)、2010年より国際医療福祉大学クリニックで外来診療にも携わる。

武藤正樹の著書

病院経営MASTER VOL 9.1

病院経営MASTER VOL 9.1

れんけあ広場のコラム「ちょっとどきどき在宅医療」が一冊に!在宅医療の実践物語。

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